若き日の私にとって「詩とメルヘン」は遠くきらめく星にも似て、憧れてもあまりあるものでした。
当時、「いちごえほん」に時折イラストを描いていた私は、多くの気鋭のイラストレーターが描き出した誌面を憧れる思いで見つめていました。
間もなく「いちごえほん」は休刊となり、ションボリしていた私に「詩とメルヘン」編集部から思いがけない原稿依頼の電話が入りました。 「あの誌面に自分の絵を?!」喜びと不安の中で精一杯描いて仕上がった絵を渡した時の緊張はいまでも記憶にあります。
その後、幸いな事に「詩とメルヘン」への寄稿が続き、投稿詩や童話にどんな絵を添えるか、自問自答の自分を探す日々となりました。
詩を読む中で他者の心と会話し、絵で応えることは私に新たな目を開かせ、私の進べき道を見つける基盤になってくれました。
この仕事に入って50年が過ぎ、なんとかやってこれたのは、やなせ先生を始め、こうしたチャンスを与え続けてくれた人たちの助力のお陰と感謝しています。