黒井健絵本ハウス 黒井健絵本ハウス

2024.07 24 Wed

これまでの展示

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最新刊絵本(2024.6-7月)

1F展示室

「うみへいったくじら」文/ こわせ たまみ (日本民話より)

学研ワールドえほんセレクション1月号 2024年1月1日発行 第2巻第10号

初出/学研ワールド絵本2009年1月号

 

保育月刊絵本は、昭和2年にフレーベル館が「キンダーブック」を幼稚園や保育園に直接販売したことに始まりました。前年に文部省によって幼稚園令が交付されています。

保育項目として「遊技、唱歌、観察、談話、手技」が提示されていました。それを受けて「観察絵本キンダーブック」が手引書として生まれました。 太平洋戦争後昭和30〜50年代に、この流れは細分化され、「情操、観察、学習、お話、科学」と年齢別にも急速に種類が増加していきました。 毎月発行される50誌を超える保育誌には多くの作家と画家が起用されています。その中からたくさんの絵本作家、画家が育っていきました。 私もその中の一人です。都度違うテーマに絵を描くことで多くを学び、育てられてきました。

2F展示室

「ともだちともる」文研出版  2024年03月27日

「だれかがぼくを」PHP研究所 2010年07月

作:内田麟太郎

「ともだち ともる」

内田さんとの絵本は2010年「だれかが ぼくを」以来の2冊目です。この絵本は殺意を主題として書かれた作品で、内田さんご自身の心底に漂う記憶を吐露されたものでした。 絵を添える私は、いつも自分自身の心の中を探して、作品に描かれた心に多少なりとも共鳴する部分を見つけ出して描き始めるのですが、強い殺意をいだいた記憶が見つかりませんでした。しかし大切なテーマでしたのでなんとか描き上げました。 内田さんの作品は様々な顔を持ち、私には計り知れない作家です。前作に心残りだった私は、内田さんにお会いした折に別なテーマで書いていただけませんかとお願いをしました。半年ほどしてこの作品が届きました。 ウシガエルとアマガエルがダブルキャストで友情が芽生えるお話しです。困ったことに私は両生類は苦手でした。繊細な心の揺らぎをカエルに託して描くには、まず好きなカエルを生み出すことが課題でした。出版までにはまた数年が過ぎてしまいました。 2作品のテーマこそ違いましたが、内田さんの作品に共通するものは<繊細な心>でした。

 

「だれかがぼくを」

きっと誰もが抱いたことのある憎しみという感情。自分や他人を殺してしまいたくなるほど、苦しんでいるときに、救ってくれたのは、聞き覚えのある声でした。愛する人のあたたかな言葉は、心にやすらぎを与えてくれます。 殺意を主題として書かれた文章。作者の内田麟太郎氏がご自身の心底に漂う記憶を吐露されたものでした。絵を添える私は、いつも自分自身の心の中を探して、作品に描かれた心に多少なりとも共鳴する部分を見つけ出して描きはじめるのですが、文面のような強い殺意を抱いた記憶が見つかりませんでした。そんな私が絵を添えてはいけないかもしれないとも思いました。日々新聞紙上で知る事件などから感じるやるせない思いから、これほど重要な主題はないとも思いました。どうしてもこの心を感じ取って描き上げなければ……と切望しました。描き終えるのに5年近い歳月を要しました。できあがった絵本は、従来の絵本らしくない絵本になっていました。 この絵本は、小さな子を持つ多くのお母さん、お父さんに読んでもらいたいと願っています。

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