投稿詩やメルヘンに絵を添える事はその作品を書いた人たちとの会話に他なりません。
話を聞き、私がどう感じたか、どう考えるかを絵に託します。まったく共感することもありますし、ぜんぜん解らないこともあります。結果的に、善くも悪くも自分を知る事になってしまいます。
若き日の私にとって「詩とメルヘン」は遠くきらめく星にも似て、憧れてもあまりあるものでした。
当時、「いちごえほん」に時折イラストを描いていた私は、多くの気鋭のイラストレーターが描き出した誌面を気が遠くなるような思いで見つめていました。
間もなく「いちごえほん」は休刊となり、ションボリしていた私に「詩とメルヘン」編集部から思いがけない原稿依頼の電話が入った。
「あの誌面に自分の絵を?!」喜びと不安の中で精一杯描いてみた。仕上がった絵を渡した時の緊張はいまでも記憶にある。
その後、幸いな事に「詩とメルヘン」への寄稿が続き、投稿詩やメルヘンにどんな絵を添えるか、自問自答の自分を探す日々となった。
よちよち歩きの駆出しイラストレーターにとって、大きな舞台での仕事は少しづつ私の足腰を鍛えてくれることになってくれた。
この仕事に入って30年が過ぎ、間借りなりにもやってこれたのは、やなせ先生を始め、こうしたチャンスを与え続けてくれた人たちの助力と感謝しています(2003年3月)。